不妊症の原因
不妊症の原因
不妊症は、卵管や子宮などに何らかの原因が認められる「器質的不妊症」と、現代の医学では原因が明らかでない「機能的不妊症」に分けられます。
3大原因といわれるのが、「男性因子、卵管因子、排卵、卵巣因子」です。
不妊症の原因
【器質的不妊症】
男性不妊症
精子をつくる機能、精子が通る路、性機能、精子の数や活動率などが原因
女性不妊症
内分泌が原因(排卵がない、ホルモンの分泌などが原因)
卵管が原因(卵管のつまりや癒着、クラミジア感染などが原因)
子宮が原因(子宮内膜症、子宮筋腫、子宮の機能などが原因)
膣、頸管が原因(精子の侵入障害、頸管の形態異常などが原因)
【機能的不妊症】
特に原因が特定できない
男女別にみると男性のみの原因が約25%、女性のみの原因が35%、両方の原因が25%、原因不明が15%といわれています。
以上の事から、妊娠を望む場合は医学的な検査を受け、原因がある場合はその治療が優先されると考えられています。
また、不妊症の検査はご夫婦で受けられることが望ましいとされています。
加齢と生殖能
女性が妊娠をすることができる能力を、生殖能または妊孕能(にんようのう)といいます。
生殖能は加齢とともに低下することが知られていますが、これは卵巣機能そのものが低下することと、卵子の質が低下することが原因と考えられています。
生殖能は、30歳頃から低下を始め、35歳で低下に拍車がかかるとされています。
このことからも、不妊治療を始めるなら早ければ早いほどよいと言えます。
卵巣機能の低下
女性の性周期は、性腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、プロゲステロンといったホルモンの働きによって繰り返されています。 そして、これらのホルモンの働きで、卵胞の発育、月経、排卵、子宮内膜の変化が起きています。
月経開始から次の月経開始日までを月経周期といい、25~38日が正常範囲とされています。28日周期の月経であれば、およそ14日頃に卵巣から卵子が排卵されます。
卵巣の機能が低下すると、月経はあっても排卵していない事や、排卵していても卵子の変性や、卵胞が育っても中に卵子が見られないこともあります。
卵子の数と質
卵子の数は、胎生20週頃にピークを迎え約600万~700万個となり、出生時には約200万個に減少します。
さらに初経を迎える時には約30万個、20歳前後で約20万個まで減少します。
周期的な排卵を迎える頃には、ほとんどの卵胞が消失してしまい、閉経前約10年間には消失が加速して、閉経時には約1000個になるといわれています。
また、加齢とともに卵子の質が低下すると考えられています。卵子の質の低下は、卵子のミトコンドリアの質が低下するためと考えられています。
質が低下すると、受精しない、受精卵が育たない、染色体異常などが発現しやすくなります。
東洋医学的な考え方
東洋医学では不妊症は、腎気不足、妊娠に関する経絡の流れの滞りや、気血水の不足や過剰、流れの滞りなどが原因と考えます。
妊娠に関する経絡の異常
少陰腎経(しょういんじんけい)
お父さんとお母さんから受け継いだ腎気(じんき)は、少陰腎経に流れています。腎気は増えることが無いため、元々虚弱で腎気が不足していると、妊娠に必要な腎気が足りず不妊となります。
または房事不節(ぼうじふせつ:性交渉の過剰)により、精血(せいけつ:腎が蓄える血)を消耗しすぎると、妊娠に必要な血が不足して、腎が持つ温煦作用(おんくさよう:体を温める作用)が低下します。温煦作用が低下すると、任衝脈も衰退して胞宮(ほうきゅう:子宮のこと)を滋養できずに不妊となります。
任脈・衝脈(にんみゃく・しょうみゃく)
任脈と衝脈は、ともに胞宮につながる経絡です。この経絡を使って、妊娠に必要な気血水を胞宮に運びます。
従って任脈・衝脈の流れが滞ると、胞宮の気血が不足して不妊となります。
太陰脾経(たいいんひけい)
脾は、食物から得られた栄養を全身にくまなく運ぶ経絡です。また、任脈・衝脈とともに子宮につながっている経絡と考えられています。
また、脾経の流れの滞りや、脾の気血が不足すると妊娠しても流産の可能性が高くなります。
脾経は、不妊治療で用いられるだけでなく、逆子の治療によく用いられるツボが存在します。